トコトンやさしいVRの本 追加資料

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  • 研究室入門指定図書として、トコトンやさしいVRの本 (今日からモノ知りシリーズ)を選びました。VRに関する話を広範囲に扱う良い入門書と考えていますが、ここから興味の興味のある内容を詳しく知ろうとする時、リファレンス情報が足らないと感じました。
  • そこで、興味のある内容に関する研究をさらに知るために、論文情報をまとめました。基本的には論文や書籍などの文献情報(日本語で読めるもの)が中心ですが、一部は映像情報も掲載しました。
  • 本ページは未完です。「この情報を追加すると良いよ!」という情報をお持ちの方は、 Twitter @kizm_naoya か、koizumi.naoya@uec.ac.jp までご連絡下さい。

目次とリファレンス

第1章 VRって何だろう

1 VRの誕生 「歴史は30年も前に始まっていた」

  • VRの黎明期に関する書籍
  • また黎明期の本人である舘先生が、会議の話を書いています。
    • 舘 暲: 日本のVR -「VR 黎明期の記憶」, 日本バーチャルリアリティ学会誌, Vol.11, No.2, pp.85-88 (2006.6) Link PDF

2 VRとは 「重要なのは情報のループ」

3 VRの最重要キーワード 「AIPキューブと3要素」

  • D. Zeltzer. "Autonomy, interaction and presence". Presence, 1, 1, pp.127-132(1992) MITPress
    • 有料です。読んだほうがいいのかもしれないですが、まだ自分は読んでいません。
  • 同じくVRに必要な3つの要素に関する議論として、舘先生が「三次元の空間性」、「実時間の相互作用性」、「自己投射性」を挙げています。
    • 舘 暲: バーチャルリアリティ, 3D映像, Vol.20, No.4, pp.91-98 (2006.11)PDF Link
  • 小泉は、AIP Cubeは制作するシステムの要件を整理する際に参考になる指標で、舘先生の三要素はシステムの中の人の感じ方を検討する際に参考になると思っています。

4 VR以前の技術とは 「VRを支えている始祖技術」

  • サザランド先生の発表
    • Sutherland, I. E. (1965). "The Ultimate Display". Proceedings of IFIP 65, vol 2, pp. 506-508 Link
    • The Sword of Damoclesと呼ばれていたそうです。
  • センソラマの‪Morton L. Heiligについてよく知らないのですが、調べてみると、スケボーが好きで関連の発明をしていたという記述がありました。映画撮ってスケボーやってたから、五感で感じる面白さを知っていて、それを再現しようと思ったのでしょうか。
  • Media Roomに関して
    • 下記文献があるようですが読んだことありません。
      • Negroponte, N The Media Room. Report for ONR and DARPA. MIT, Architecture Machine Group, Cambridge, MA, December 1978
    • 但し、超有名論文 Put That Thereに、Media Roomに関する記述があります。
      • Richard A. Bolt. 1980. “Put-that-there”: Voice and gesture at the graphics interface. SIGGRAPH Comput. Graph. 14, 3 (July 1980), 262–270. DOI:https://doi.org/10.1145/965105.807503

5 まだある、VR以前の技術 「様々な分野で進んだ研究」

6 ARってなに? 「リアルとバーチャルの中間」

  • Paul MILGRAM and Fumio KISHINO. A Taxonomy of Mixed Reality Visual Displays.IEICE TRANSACTIONS on Information and Systems Vol.E77-D No.12 pp.1321-1329 (1994). web PDF
    • この分野の用語の定義に関わる重要な論文が、日本の論文誌(電子通信情報学会)で発表されていたんですね。

7 VRとAR 「異なる現実世界との距離感」

  • 比較的大きな規模のフィールドを対象にした初期のARシステムの例として有名な研究に AR Quakeがあります。
    • 文献情報:B. Thomas et al., "ARQuake: an outdoor/indoor augmented reality first person application," Digest of Papers. Fourth International Symposium on Wearable Computers, Atlanta, GA, USA, 2000, pp. 139-146.doi: 10.1109/ISWC.2000.888480 Link web
    • プロジェクトページLink web

8 VRという学問 「アカデミアの動き」

  • 黎明期の話はこちら。
    • 舘 暲: 日本のVR -「VR 黎明期の記憶」, 日本バーチャルリアリティ学会誌, Vol.11, No.2, pp.85-88 (2006.6) Link PDF
  • ACM SIGGRAPHに関しては、下記サイトにたくさんの動画が公開されています。

第2章 VRと五感の科学

9 知覚と認知の多様性への対応 「大脳と小脳の役割と協調」

10 感覚は脳内で組み合わさる 「感覚の分類」

11 感覚の強さはどのように変化する? 「物理量と感覚量」

  • 物理量と感覚量に関する内容に関して詳しく書いてある本としては、感覚・知覚実験法が有名です。私は博士号を取ったあと、その本の著者の先生にお会いして、サインを貰いました(自慢)。

12 目から脳までの視覚の情報ルート 「人間の発達した視覚器」

13 なぜ、見るものの状況が変化しても同一だとわかるの? 「知覚の恒常性」

14 見るものの奥行きはどのように感じるの? 「立体視の原理」

15 いろいろある3Dディスプレイ 「メガネは必須ではない」

16 臨場感を高める方法は? 「視野角が最重要」

17 VRを見る方法 「HMDと全天周ディスプレイ」

18 なぜ、音は立体的に聞こえるの? 「聴覚とディスプレイ」

19 触覚はどうやって再現するの? 「振動の波形を利用する」

20 触覚は騙されやすい 「人間の感覚は完全なセンサではない」

21 影響し合う五感 「クロスモーダル現象の応用」

  • Psuedo-hapticsに関して、下記の解説がおすすめです。
    • 渡邊 淳司, Haptic DesignにおけるPseudo-haptics技術の役割 および表現分野での事例紹介, システム/制御/情報, 2017, 61 巻, 11 号, p. 459-462, 公開日 2018/05/19 Jstage PDF
    • 鳴海 拓志, Pseudo-haptics応用インタフェースの展望, システム/制御/情報, 2017, 61 巻, 11 号, p. 463-468, 公開日 2018/05/19. Link web Link PDF
  • また図2のMagic Potに関する文献は下記の通りです。
    • 伴 祐樹, 鳴海 拓志, 谷川 智洋, 廣瀬 通孝, 手の動きの空間変調による形状知覚操作(<特集>3次元インタラクション), 日本バーチャルリアリティ学会論文誌, 2012, 17 巻, 4 号, p. 457-468, 2017/02/01. link

22 匂いは感情や記憶に強い影響を与える 「嗅覚とディスプレイ」

  • ウェアラブル嗅覚ディスプレイに関する文献は下記の通りです。
    • 横山 智史, 谷川 智洋, 広田 光一, 廣瀬 通孝, ウェアラブル嗅覚ディスプレイによる匂い場の生成・提示(<特集>五感情報インタフェース), 日本バーチャルリアリティ学会論文誌, 2004, 9 巻, 3 号, p. 265-274, 2017/02/01. web PDF

23 味を変化させることができる? 「味覚・食味とディスプレイ」

  • 鳴海 拓志, 谷川 智洋, 梶波 崇, 廣瀬 通孝, メタクッキー : 感覚間相互作用を用いた味覚ディスプレイの検討(<特集>香り・人・システム), 日本バーチャルリアリティ学会論文誌, 2010, 15 巻, 4 号, p. 579-588, 2017/02/01. Link

24 VR空間内の動きの再現 「前庭感覚の提示方法」

  • 安藤 英由樹, 渡邊 淳司, 前田 太郎, 4. 前庭電気刺激を利用した平衡感覚インタフェース, 映像情報メディア学会誌, 2008, 62 巻, 6 号, p. 837-840, 2010/06/01. Link

第3章 VRが可能にする新しいインタラクション

25 コンピュータグラフィックスとは 「バーチャルな世界での美しい映像の作り方」

27 3次元空間をキャプチャできるカメラ 「光線空間法」

  • 光線空間法に関しては、下記文献が参考になります。
    • 藤井 俊彰. 光線空間法と3次元映像取得・表示方式. 情報処理学会 研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM), 2011-CVIM-176, 27, pp.1-12, 2011年03月10.web PDF

28 シミュレーションの思想 「現実世界のモデル化」

  • リアルタイムシミュレーションに関する研究として、タスク管理をテーマにしたものが発表されています。
    • 竹内俊貴、田村洋人、鳴海拓志、谷川智洋、廣瀬通孝、「ライフログとスケジュールに基づいた未来予測提示によるタスク管理手法」、情報処理学会論文誌、Vol.55、No.11、pp.2441−2450 (2014.11)
      web PDF

29 身体の動きをトレースする技術 「身体型インタラクション」

30 実空間の「範囲」という制約を取り除く 「リダイレクションの技術」

 

31 見せたいものを見てもらう技術 「ちょうどいいインタラクション、行動誘発技術」

  • デジタルミュージアムに関して、下記文献に詳しい情報があります。
    • 鳴海 拓志. ディジタルミュージアムにおけるVR/ARの利用 (特集 人工知能と歴史) -- (歴史を残す). 人工知能 : 人工知能学会誌. 2188-2266. 2014- 2016-11 31 6 794-799 PDF
  • 実例として、下記ビデオの研究内容が挙げられます。

32 VR空間で別の身体を手に入れるとどうなる? 「アバタと身体所有感」

  • プロテウス効果などの身体変容に関して、俯瞰し議論している文献として、下記の文献が面白いです。タイトルもかっこいい。
    • 鳴海 拓志, ゴーストエンジニアリング: 身体変容による認知拡張の活用に向けて, 認知科学, 2019, 26 巻, 1 号, p. 14-29, 公開日 2019/09/01 web pdf

33 アバタはどうやって動くの? 「モーションキャプチャの仕組み」

34 アバタを通じた自己表現 「バーチャル身体がもたらす新しい可能性」

  • 上記 32 と同じ文献で、VRを用いた変身・合体などの研究事例が紹介されています。
    • 鳴海 拓志, ゴーストエンジニアリング: 身体変容による認知拡張の活用に向けて, 認知科学, 2019, 26 巻, 1 号, p. 14-29, 公開日 2019/09/01 web pdf

第4章 時間と空間を超える

35 遠隔地点を意のままに体験できるシステム 「テレイグジスタンスとテレプレゼンス」

  • テレイグジスタンスの研究成果に関して、2012年までの歴史が詰まったビデオです。強い。

36 臨場感を「超える」 「テレプレゼンスの先にある超臨場感通信」

37 時空を超えた遠隔操作 「スーパーバイザリー ・ コントロール」

38 時間を操作する撮影技術 「マシンガンカメラの世界」

39 VRにおける自然な動きと時間の関係 「高速な応答が鍵を握る」

40 ライフログとVR 「人生の記録・心の記録」

41 過去を再現し、未来を予測する 「ライフログとデジタルアーカイブ」

42 時を遡るタイムマシン 「位置情報と時間軸」

第5章 VRの周辺技術

43 VRとAI 「VR世界の自動生成」

44 VRと先端センシング 「身体だけでなく心の動きも表現」

45 VRとIoT 「つながる情報のコントロール」

46 VRとロボット 「主観的視点と客観的視点」

47 VRと5G 「VRに適した環境」

48 ダイナミックプロジェクションマッピング 「映像投影で物体の形状や質感を変化させる技術」

第6章 VRの可能性

49 教育とVR 「応用分野として有望視」

50 医学とVR 「VRがもたらす新しい医療」

51 医学教育・ 看護教育とVR 「体験型の講義と実習」

52 デジタル・ミュージアム 「収蔵品を見て触って学べる仕組み」

53 製品設計とVR 「デジタルエンジニアリング」

54 エンターテインメントとVR 「身近なVRの楽しみ方」

  • エンタテイメントVRに関する2000年以前の内容に関して、下記の文献で紹介されています。
    • 武田 博直. エンタテインメント 3. アーケード系VRアトラクションの技術動向. 映像情報メディア学会誌, vol. 60, no. 4, pp. 495-498, 2006. web
  • 同じ学会誌特集に4. 自己投影型エンタテインメント体験をもたらす映像メディア技術があり、これはシビレル文献でした。みんな読むべき。

55 芸術とVR 「感覚に訴える表現方法」

  • デジタルパブリックアートプロジェクト自体の説明は、下記の文献があります。
    • 西村 邦裕. 公共空間におけるメディア芸術の展示 : 「空気の港」展の事例より. 日本バーチャルリアリティ学会誌, vol.15, no.3, pp.146-149,2010-09-30.PDF
      • ここでは、研究者が公共空間で研究成果を展示するために、関係者間でどう調整しながらすすめていったかが書かれています。
    • 西村 邦裕. バーチャルリアリティとインタラクティブアートの相互作用による発展 : 2.羽田空港におけるディジタルパブリックアート「空気の港」展. 情報処理 52(4), 481-491, 2011-04-15 PDF web
    • 空間性・実体性・自己参加性の定義に関して記載されています。また実際にどんな作品が展示されているのかを網羅的に記載されています。
  • デジタルパブリック・アートに関わった研究として、下記のような論文が発表されています。
    • 佐藤宗彦、鈴木康広、西坂信哉、鳥越祐輔、泉原厚史、檜山敦、西村邦裕、谷川智洋、廣瀬通孝、「 “出発の星座”:空港出発ロビーにおける航空機離陸の空気感提示」、日本バーチャルリアリティ学会論文誌、Vol.15、No.3、pp.325-334 (2010.10) web
    • 西村邦裕、木村健太郎、山崎充彦、鈴木康広、谷川智洋、廣瀬通孝、「羽田空港バゲッジクレームにおけるパブリックアート:かばんの鳥」、日本バーチャルリアリティ学会論文誌、Vol.15、No.3、pp.467-470 (2010.10) web
    • 西村邦裕、鈴木康広、上條桂子、谷川智洋、廣瀬通孝、「デジタルパブリックアート展『空気の港』におけるプロデュースとそのログ」、日本バーチャルリアリティ学会論文誌、Vol.15、No.3、pp.407-416 (2010.10) web

56 VRで広がるゲームの可能性 「人とゲームの新しい関係」

57 コンテンツ産業とVR 「コンテンツがあって普及する」

  • ICT産業の構造変化に関しては、総務省資料ICT 産業の構造変化に、違う視点で、ICTのプレイヤーの変化や、産業構造の変化の原因などが詳細が書かれています。
    • 本資料の面白い点は、「フィクションで描かれたICT社会の未来像」です。ここでは、1960年代以降に発表された様々な分野のSFの中で、どのようにICT機器や未来社会が描かれたか紹介しています。
    • 「鉄腕アトム」や「ゴジラ」からはじまり、「スーパージッター」、「ジャイアントロボ」、「電脳コイル」などが紹介されています。

58 脳科学とVR 「脳科学の新たな実験系」

59 電気刺激とVR 「電気刺激装置だけで様々な感覚が作り出せる」

60 感情とVR 「感情の操作の可能性」

  • 吉田さんの「扇情的な鏡」が代表的な研究例として挙げられます。本作は、グッドデザイン賞Innovative Technologies にも採択された有名な研究です。
  • 吉田成朗,鳴海拓志,櫻井翔,谷川智洋,廣瀬通孝:リアルタイムな表情変形フィードバックによる感情体験の操作, ヒューマンインタフェース学会論文誌, Vol.17 No.1, 2015年2月web PDF

第7章 VRと社会

61 身近なVR技術 「気づかぬうちに体験している」

62 VR酔い 「乗り物酔いとの違い」

63 VR酔いの対策 「工学的な観点から解説」

64 超高齢社会とVR 「心身への活性効果」

65 社会における「バーチャル化」の意味 「『VRでなければならない』理由」

66 若い研究者の登竜門 「VRコンテスト」

【コラム】

●IAとAI

●なぜ、錯覚は存在するのか

●デカルトとVR

●VRを体験する方法

●イノベーションのジレンマとVR

●メンタルトレーニングとVR

●VRに集う学生たち