2025年6月開催のMVE研究会で「レイトレーシング法による再帰反射を利用した空中像光学系の飛び出し距離に応じたボケ特性の再現」というタイトルで発表しました。(菅原陵央)

はじめに

 小泉研究室 修士2年生の菅原 陵央です。2025.06.18, 19に、東京大学の山上会館で開催されたMVE研究会(共催:IPSJ-HCI、IPSJ-EC、HI-SIG-DeMO、ITE-HI)で口頭発表を行ったので、ご報告いたします。

学会情報

  • 学会名:MVE研究会(テーマ:人工現実感,エンタテインメント,メディアエクスペリエンスおよび一般、共催:IPSJ-HCI、IPSJ-EC、HI-SIG-DeMO、ITE-HI)
  • 期間:2025.06.18 - 2025.06.19
  • 会場:東京大学 山上会館 大会議室(〒113-8654 東京都文京区本郷7-3-1(東京大学本郷キャンパス構内))
  • 学会ホームページ:https://www.ieice.org/~mve/

研究について

概要

  • タイトル:レイトレーシング法による再帰反射を利用した空中像光学系の飛び出し距離に応じたボケ特性の再現
  • 著者:菅原 陵央、小泉 直也

 再帰反射を利用した空中像光学系(AIRR)をレイトレーシング法で再現することで、実物を組み立てることなく光学系を設計可能にすることを目的としています。AIRRによって形成される空中像は、再帰性反射材の角度や空中像の飛び出し距離などの配置条件によって輝度やボケの大きさが変わります。そのため、CGで空中像を再現する場合も、配置条件の違いによる見た目の変化を再現する必要があります。そこでこの研究では、再帰性反射材の表面における光の拡がりと、出射位置の変化を考慮した再帰反射モデルを提案し、そのパラメータを微分可能レンダリングで推定することで、再帰反射モデルを作りました。レンダリングした画像と、実物の空中像の画像とのLPIPSを求めた結果、従来モデルよりLPIPSが平均0.080低下し、空中像飛び出し距離に応じた再現精度が向上しました。

論文情報

菅原 陵央, 小泉 直也. レイトレーシング法による再帰反射を利用した空中像光学系の飛び出し距離に応じたボケ特性の再現. 信学技報, MVE2025-3, vol. 125, no. 76, pp. 13 -- 18. (2025.6). (PDF)

感想

 今回は日本語の発表でしたが、色々な大学の先生たちの前で発表するのは、やはり緊張しました。しかし、発表後の質疑で「再帰性反射材が曲面になった場合の再現もできるのか」や「シミュレーション自体がモチベーションなのか、それとも目標は別にあってその手段としてシミュレーションを利用しているのか」などの質問をいただきました。自身の研究のモチベーションや、今後の課題などを再認識するきっかけとなり、楽しい時間となりました。

 会場は東京大学であり、私は普段から東京にいる身なので観光はしませんでしたが、本郷キャンパスの第二食堂で食事しました。1日目はガーリックハンバーグ、2日目は冷やしラーメンを食べました。どちらも美味しかったです。大きい大学と言うこともあり、メニューが豊富で、何を食べようか選ぶのが楽しかったです。

M2ということであまり学会に行ける回数も残っていないと思いますが、今後も国内や国外で発表できるよう、頑張ります。以上、菅原でした。