第29回日本バーチャルリアリティ学会大会で「指による映像欠如を防ぐ空中像ボタン入力手法の基礎検討」というタイトルで発表しました。(中村一翔)

はじめに

こんにちは!小泉研究室B4の中村一翔です。

2024年9月11日~13日に名城大学天白キャンパスで開催された第29回日本バーチャルリアリティ学会大会にて研究報告を行いましたので、ご報告させていただきます。

「指による映像欠如を防ぐ空中像ボタン入力手法の基礎検討」というタイトルで発表してきました。

研究概要

我々が研究している空中像は、裸眼で観察可能などのメリットがありますが、奥行き方向における結像位置の把握が難しいというデメリットがあります。そのため、空中像とインタラクションを行う際に結像面より奥に指を持っていってしまい、空中像が欠如するという課題が発生します。

そこで本研究の目的は、空中像インタラクションの中でもボタン入力に着目した、映像の欠如を防ぐ空中像ボタンの設計です。

今回の提案は、ユーザーがボタンを押したと知覚するフィードバックを結像面より手前で発生させるというものです。

フィードバックとして聴覚フィードバックと視覚フィードバックの2種類を用意しました。聴覚フィードバックとしてデスクトップキーボードを押したときに発生するような音を、視覚フィードバックとしてある閾値より指を押し込むと、押し込んだ分だけボタンが移動するというアニメーションを提供しました。

実験では、結像面から0.0~6.0cm手前でフィードバックを発生させて、結像面からの押下量がどれくらいなのかを調査しました。

上図が今回得られた実験結果になります。(結像面からの押下量が負の時は、結像面より手前で入力を完了したことを意味します。)

結像面から手前に4.0 cm以上手前でフィードバックを発生させることで参加者平均が負となり、空中像の欠如を防げました。

ポスター

ポスターセッションでいただいた質問

  • 結像面から4.0 cm手前でフィードバックを発生させるとユーザーは違和感を持つのではないか
  • 空中像はどうやって出すのか
  • なぜ音+アニメーションが好まれたのか

スライド

論文情報

中村 一翔,佐野 遵平,小泉 直也.指による映像欠如を防ぐ空中像ボタン入力手法の基礎検討.第29回日本バーチャルリアリティ学会大会,2E2-06,2024.09.12.

感想

今回初めての学会発表でしたが、楽しむことができました!ポスターセッションでは、自分の研究に興味を持ってくれる人がいることに気づけてよかったです。また、学会という場でディスカッションをすることで、より自分の研究テーマについて考えを深めることができました。今後の研究モチベーションにつながる良い機会でした。

他の参加者がどのような研究をしているのかを知ることができたのも大きな収穫です。自分の研究分野である空中像関連はもちろん、分野外の研究でも興味を惹かれるものがありました。学会に参加するということに楽しさを感じる、そんな3日間でした。

今回の学会参加を通して大きく2つのことを学びました。1つ目は自信を持って発表することです。今回発表を聞いた全員が、自信を持って発表していましたし、それによってその研究が面白そうだというのも伝わってきました。逆に自信なさげに発表してしまうと、研究の面白さが伝わらなくなってしまう可能性がある気がしました。2つ目は積極的にディスカッションすることです。学会参加前はポスターセッションに対して怖さを感じていましたが、いざやってみると自分の研究に磨きがかかる良い機会だということに気づきました。今後は、ポスター前で立ち止まっている人に自分から声をかけて、研究をより良いものにしていきたいです。