はじめに
こんにちは!
小泉研究室M1の小湊咲です.
2025年11月12-14日にカナダのモントリオールで開催されたVRST 2025にて,口頭発表をしましたので,ご報告させていただきます.

研究概要
本研究では,2次元空中像に絵画的奥行き手掛かりを付与し,その奥行き感および空中像ボタンを押した時の押下感について,指さし手法を用いて定量的に明らかにしました.
2次元空中像は光が平面上に結像して形成されるため,両眼視差や運動視差といった奥行き手掛かりを提示できず,奥行き知覚が弱まります.また物理的な実体がないため,空中像に触れた感覚が得られず,ボタンを押した際の押下感も乏しくなります.これらの要因は,空中像におけるインタラクションの質を低下させる問題となっています.
そこで本研究では,2次元空中像に絵画的奥行き手掛かりを付与し,奥行き感や押下感を視覚的に再現しました.絵画的奥行き手掛かりとは,陰(shade)や影(shadow),大きさの違いなど,物体の形状や奥行きを視覚的に伝える要素を指します.本研究では,これらの手掛かりを付与した空中像に対し,指さし手法を用いて奥行き感や押下感を計測しました.指さし手法とは,知覚した空中像の奥行き位置を直接指で示す方法であり,実験では奥行き方向に異なる2点を指さししてもらい,その距離の差(B-A)を奥行き感や押下感の大きさとして評価しました.

実験の結果,以下のボタンDようにボタン背後に影を付与し,押す前後で大きさを変化させた条件(影と大きさの違いを組み合わせた条件)において,押下感の大きさが有意に増加することが明らかになりました.このことから,物理的な実体や奥行きを持たない2次元空中像であっても,絵画的奥行き手掛かりを用いて視覚的に奥行きを再現することで,触覚がなくともよりリアルなインタラクションが可能になることが示されました.

論文情報
後程記載します.
感想
海外で開催される学会への参加は今回が初めてだったため緊張しましたが,無事発表を終えることができました.英語で話すことは得意ではありませんが,ゆっくりでも相手にしっかり伝えることを意識したことで,なんとか乗り切ることが出来ました(とはいえ会話のスピードが速く聞き取れないことも多かったため,日頃からリスニング力を磨くことの大切さを痛感しました...).
また,海外旅行ならでは(?)のトラブルにもいくつか巻き込まれ,いろいろな意味で思い出深い出張になりました.中でも大きなトラブルだったのが,現地に到着してから宿泊先の予約ができていなかったことに気づいたことです....偶然空き部屋があったため事なきを得ましたが,事前に宿泊先へ確認を取ることの大切さを学びました!!!
トラブルはあったものの,モントリオールのおしゃれな街並みを満喫することもでき,無事に発表も終えられたので,とても良い経験になりました.また機会があれば,国際学会で発表する経験を積んでいきたいと思います.
